太古の生きもの館コラム

VOL9 篠山層群の楽しみ方

化石保護技術員 奥岸 明彦

丹波篠山市の盆地部に広がる約一億一千万年前(中生代白亜紀)の地層、篠山層群。様々な動物の化石や炭化した植物探しはとても楽しい事ですが、今回は地層を見て想像して楽しむ方法をお話しします。

篠山層群は太古の昔、雨期に川から水と共に溢れ出た泥や砂、石などがたまり積み重なって出来た地層です。当時水の流れがほとんど無く、淀んだような所にたまった泥が固まって出来た岩を泥岩、少し水の流れがあって泥と砂が混じりあって岩になった物を砂岩、かなり水の流れが強く、泥や砂の他に石が沢山含まれている物をレキ(礫)岩といいます。篠山層群の地層は、大きく分けてこの三つの地層で出来ています。

太古の生きもの館の敷地や宮田(ササヤマミロスの発見地)にある露頭を見てみると、岩の板が重なるようにして地層が見えています。かなり斜めに傾いていますが、元々は水平だった物が地殻変動などによって傾いたり曲がったりズレたりしています。その岩の板の中でボロボロに表面が崩れているのが泥岩です。ほぼ泥だけで出来た泥岩は紫外線や風雨などによる風化に弱く、どんどん削られていきます。化石が見つかるのは主にこの地層です。表面に石が沢山見えているのがレキ岩で、泥岩とは違ってとても硬く、金属のハンマーで叩くと火花が出るくらいです。砂岩は泥岩とレキ岩の中間くらいの硬さで表面が整ってしっかりしています。レキ岩や砂岩では水の流れがあったため生きものの死体や骨がその場に留まり難く、更に石などにぶつかるなどして壊れてしまうため、化石は殆ど見つかりません。

少し離れた所から露頭を見渡しつつ、削れてへこんだ泥岩を見て「この時は雨が少ない雨期だったんだなぁ」とか、硬く出っ張ったレキ岩を見ながら「凄い大雨だったんだろうけど近くに棲んでいた恐竜はちゃんと避難出来たのかな?」など、太古の昔の景色を思い浮かべてみるのも良いものです。

太古の生きもの館敷地内の露頭

太古の生きもの館敷地内にある露頭

 

近づいて観察できる露頭

露頭は近づいて観察することが可能です。

 

丹波篠山市ホームページ

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html