2018年は丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム元年! スタートアップミーティング開催レポート

去る2006年8月、丹波市山南町で丹波竜の化石が発見されました。その後、試掘調査に始まり、ちーたんの館や元気村かみくげ、太古の生きもの館等の設立・設置などとともに、「丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム」が形成されてきました。

丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム推進協議委員会は、2018年を「丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム元年」と定め、これまでの活動を振り返るとともに、今後の活動を深めていくための「スタートアップミーティング」を2018年の3月4日(日)に執り行いました。

会場内には、これまでの研究・発見内容をまとめた展示スペースを設置。実際の化石を展示する等して、恐竜化石や地層に触れていただきました。

この日の参加者は、三田・播磨方面からのエクスカーションツアー(ちーたんの館、太古の生きもの館、丹波竜の里公園等の主要スペースを見学・体験するツアー)参加者を含め、丹波・篠山地域内外から100人程度の参加者が会場を埋め尽くしました。

基調講演は、横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院 都市イノベーション部門教授の大原一興氏をお招きし、フィールドミュージアム活動がに住民が参加することでどのような効果が期待できるか、というテーマでお話しいただきました。

フィールドミュージアムのような、建物内に限らず、地域を丸ごと博物館として学びの場にしたものを、大原教授の用語では「エコミュージアム」といいます。

エコミュージアムの3つの要素は、
「博物館活動」としての収集保全や調査研究が行われること、
「遺産の現地保全」がなされることのほか、
「住民の主体的参加」が活動の中心となることが唱えられています。

世界中で展開されているエコミュージアムですが、
実際に日本で活動が行われている「茅ヶ崎市まるはく」「三浦半島まるごと博物館連絡会」、また恐竜化石の発掘という点で丹波地域恐竜化石フィールドミュージアムでも共通点のある「勝山エコミュージアム」等の事例を紹介。
住民同士が繋がり、参加することで様々な専門性の連携や掛け合わせができ、ネットワークが広がり、ひいては地域の住民であることの誇り、アイデンティティが育つ、話し合いのコミュニティができる等のメリットがあり、結束力を高めることにもつながるとお話されました。

その後は、恐竜化石フィールドミュージアムを舞台とした、各種取組の発表をおこないました。

丹波の森研究所 主任研究員の門上保雄氏は、丹波地域恐竜化石フィールドミュージアムのこれまでの研究活動を振り返るとともに、11年で蓄積された知識、技術、人材を篠山市は教育・環境学習、丹波市は観光の形で今後も生かしていきたいと話しました。

また、関西大学・関西学院大学有志チームは、篠山層群周りの農村地域を歩いて魅力を掘り下げ「名所百景」を選定する活動の発表を行い、

篠山鳳鳴高等学校、柏原高等学校の生徒さんたちは、化石に関わる人たちの生の声を聞き書き調査。模造紙にまとめる等して得た成果の発表を行いました。



兵庫県立人と自然の博物館 恐竜化石総合ディレクターの久保田克博氏からは、丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム内で活動する「石割ボランティア(住民参加の発掘調査)」の育成活動について事例発表が行われました。

その後、丹波の森公苑公苑長 角野幸博氏をファシリテーターに、前述の横浜国立大学大学院教授 大原一興氏をコメンテーターに迎え、北摂里山博物館運営協議会事務局長 大嶋点氏、いなみ野ため池ミュージアム運営協議会副会長 池本廣希氏、NPO法人北はりま田園空間博物館 事務局次長 篠原秀明氏、丹波の森研究所研究員 片平深雪氏をパネラーとしたパネルディスカッションが行われました。

里山の価値を表面化し、里山を学ぶ市民大学や里山を音楽で表現するバンドの活動などを行う北摂里山博物館運営協議会、農業用水として地域に欠かせない存在の「ため池」を危険だと遠ざけるのでなく、住民から積極的に近づき、水を守る活動を支援す売るいなみ野ため池ミュージアム運営協議会、フィールドのみならず道の駅の運営、各地にNPO法人のサテライト等を設け、地域全体のあらゆる分野での活性化を図るNPO法人北はりま田園空間博物館、それぞれの事例成果発表や今後の課題を語り合い、恐竜化石フィールドミュージアムとしても各活動内容をヒントに今後どのように活動を深めていけるかを探りました。

2018年、新たなスタートを切る丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム。住民の方の活動をより活発に深めていくための取り組みを進め、また5月には小学校高学年から中学2年生を対象としたアカデミックキャンプも開催。今後の丹波地域恐竜化石フィールドミュージアムの活動に御注目下さい。