VOL6 生きていた頃の姿
化石保護技術員 奥岸 明彦
今回と次回は化石の紹介を一休みして、化石から生きていた当時の姿を復元するという事についてお話ししようと思います。
骨(化石)から生きて動き回っていた頃の姿を復元する場合、今も同じ種や近縁種が生きているのであればそれを参考にすれば良いので比較的簡単ですが、すでに滅んでしまっていると途端に難しくなります。
恐竜の場合を例として挙げると、現生の爬虫類や鳥類、哺乳類などを参考にしつつ骨の形や配置から筋肉と脂肪の付き方や姿勢、皮膚の質感や羽毛の有無など、当時の生活環境も踏まえて復元していきます。しかし、苦労して復元してもそのモデルが正しいとは限りません。
ティラノサウルス(レックス)は恐竜と言えば一番に名前が挙がるくらい有名ですが、四、五十年前はゴジラのように立ち上がり、尻尾を使って体を支えるような姿勢で復元されていました。皮膚もトカゲように全身を鱗で覆われている状態です。ところが最近の復元では、前傾姿勢で尻尾は頭とバランスを取るために宙に浮き、部位によっては羽毛が生えていてモフモフしています。(羽毛については、無い、部分的に有る、ほぼ全身に有るなど研究者によって意見が分かれています)
とても有名で全身の化石が有り、詳しく研究されているティラノサウルスでも、研究方法や考え方の変化によって復元モデルはどんどん変わってきています。言い換えれば、たくさん研究されるからこそ新しい発見が有り、それと共に復元される姿形も変わっていくと言えるでしょう。次回に続く。
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