太古の生きもの館コラム

VOL5 太古の生きものたち・トカゲ編

化石保護技術員 奥岸 明彦

篠山層群から見つかる太古の生きものたち。今回はトカゲを紹介します。

現在も発掘調査を行っている丹波篠山市宮田では恐竜の他にもトカゲ類化石が沢山見つかります。全て同じ種類のトカゲという事では無く、複数種のトカゲ類化石です。

その中にはすでに新種として発表されている物もあります。学名はパキゲニス・アダチイ(以下アダチイ)。白亜紀前期、日本と同じ大陸の一部だった中国で発見されたトカゲ(パキゲニス属)の親戚にあたります。体長は約七十センチあり、現生種であるニホントカゲやニホンカナヘビよりもかなり大きなトカゲです。

外見的には、公園を散歩しているとよく見かける現在のトカゲと大きさ以外は大差有りませんが、口の中、つまり歯の並びはとても変わっています。どの様に変わっているのかというと、一般的に知られているトカゲの場合、歯列は前から後ろ(喉)へ向かってかなり奥まで続いていますが、アダチイを含む白亜紀前期のトカゲ類の一部は、前の方(人間だと前歯にあたる位置)にしか歯が生えていません。イメージとしては歯ブラシです。顎の骨を歯ブラシの柄の部分、ブラシ(毛)を歯と見立てると何となく理解して頂けるかなと思います。

さて、そんな変わった歯と顎でアダチイが何をどの様に食べていたのかは残念ながら分かりません。私が調べた限りでは、世界中で今生きているトカゲ類に、顎の前部にのみ歯を持っているものは存在しません。せめて一種類だけでもいてくれれば参考になるのですが・・・。

パキゲニス・アダチイ

パキゲニス・アダチイ

 

丹波篠山市ホームページ

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html