太古の生きもの館コラム

VOL7 生きていた頃の姿2

化石保護技術員 奥岸 明彦

前回は骨(化石)を基にして生きていた頃の姿を復元する事の難しさをティラノサウルスを引き合いに出してお話ししましたが、今回はその続きとなります。

すでに滅んでしまった生き物ではなくても、現在生きている状態を観察できる現生種にも、骨から生きている姿形を想像するのがとても難しい生き物が結構います。

幾つか例を挙げるとすると、まずは象です。大きな体と同じく大きな耳と長い鼻を持ち、動物園に必ずいると言っても良いくらいよく知られた哺乳類です。その象の頭骨を見てみると、あの大きくて扇子か団扇のような耳がついているとは全く思えません。特に鼻は、骨の形から大きさという意味で立派な鼻だったのだろうという事は分かりますが、あれほど長くて手の様に自由自在に動かせるとは想像もつきません。参考までに象の研究者に尋ねてみたところ、生きている姿を知らなければ、象の鼻を正確に復元するのは無理だろう。との事でした。

次に挙げるのはマッコウクジラです。体長は十五mくらいで、とても大きな頭を持ち、角ばり出っ張ったおでこが特徴的な海棲哺乳類です。ところが頭骨を見てみると、平たくて口の先端へ向かって尖っている他のクジラ類の頭と同じような形をしています。これでは骨から大きな頭も角ばったおでこも想像する事はできません。

生きていた頃の姿が分かっている生き物は復元の答え合わせができますが、そうでない生き物の場合は永遠に「恐らくこうだろう。」のままです。何とももどかしい気分です。

(頭骨はネットの画像検索で【象 頭蓋骨】などのワードで調べる事ができます)

 

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