太古の生きもの館コラム

VOL.13これからのために

化石保護技術員 奥岸 明彦

約三年間に亘って連載してきた化石や発掘のお話も、今回でひとまず最終回となります。

そこで今回は、授業やセミナーでほぼ必ずと言って良いほどよく質問される事についてお話ししようと思います。

その質問とは・・・、

「化石を研究してどんな意味があるの?」

とても初歩的で素晴らしい問いです。答えとしては大きく二つ有ると私は思います。

まず一つめは人間の知的好奇心を満たすためです。太古の昔にどんな生きものがいて、それらがどういった進化をしたのか、とにかく知りたいという想いです。もちろん太古の生きものには私たち人類の御先祖様も含まれます。人間という生きものは好奇心の塊りです。何かを知りたい、理解したいという想いは科学や医療など、ほぼ全ての分野において様々な発見や発明へと繋がっていきます。

二つめは歴史に学びそれを未来へ生かすためです。化石の研究とは、動物の骨を調べるだけでは無く植物やそれらが埋まっている地層など総合的に研究し、当時の地球の環境やその変化に生きものたちがどんな影響を受け、適応していったのか(適応出来なかった生きものは滅んでしまいましたが…)を知る事なのです。そうして得た知識は、これから未来に起こる様々な環境の変化に、人類を含む「今を生きる生きものたち」がどう対応していけば良いのかを考える上で、大切な資料となるでしょう。

小難しい話になってしまいましたが、あーだこーだと言いながら、私はこれからも太古の生きものたちと付き合っていくんだろうなと思います。

太古の生きもの館パンフレット(表紙)

丹波篠山市ホームページ

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html