VOL.2 1億1千万年前の風景
化石保護技術員 奥岸 明彦
今回は今から約一億一千万年前、白亜紀前期の丹波篠山市とその周辺地域の風景についてお話しようと思います。
白亜紀前期、日本がまだ今のように島国ではなく大陸の一部だった頃、後に丹波地域となる所は大陸の沿岸部から少し中ほどに入った盆地部でした。盆地と言っても当時のまま今の篠山盆地に移動してきた訳ではなく、全くの別物です。詳しく説明するととても長くややこしいお話になってしまうので、大昔の盆地が紆余曲折あって偶然また盆地として丹波地域に形成されたと考えて下さい。
さて、当時(白亜紀前期)の盆地はどんな風景だったのかというと、まず川が流れていました。今から二、三十年くらい前までは湖沼だったと言われていましたがそうでは無く、最新の研究では蛇行河川、イメージとしては北海道の釧路川のようにグニャグニャと曲がりくねった川が流れ(現在の篠山川とは無関係)、その周りには釧路湿原の様な湿地帯が広がっていたと考えられています。ジャングルほどでは有りませんが、草や木が生え、緑豊かな地域だったと思われます。ちなみに季節は雨期と乾期の二つだけです。
篠山層群は雨期の増水による川の氾濫と共に泥や砂が溢れて湿地帯に溜まり、乾期に渇き、また次の雨期に川から溢れ・・・を繰り返して出来た地層です。今ではカチカチに固まった岩盤ですが元々は泥や砂です。そうした堆積物に様々な動物や植物が埋まり、約一億一千万年後、化石として、現在の私たちが当時の生態系や風景(環境)を知るための貴重な資料となっています。
次回は、実際にどのような生きものが発見されているのか、詳しくお伝えします。
丹波篠山市ホームページ
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html