2020 WINTER 太古の生きもの館だより

大発見をしてみよう

丹波篠山市化石保護技術員 奥岸 明彦

今回は50号に掲載の「露頭へ出掛けてみよう」の続きです。露頭に着いてまず最初にする事は、直ぐにでも露頭観察をしたいと逸る気持ちを抑えて安全確認です。濡れて滑り易く無いか、崩れてきそうな箇所は無いか、安全に行き来できる状態かなどよく確認しましょう。何も問題無ければいよいよ観察開始です。篠山層群の場合、化石が含まれている可能性が高いのは赤茶色をした泥岩層です。泥岩層とは、その名の通り泥が固まって岩盤になった物なのでとても粒が細かく、均一です。砂岩や礫岩のように粒が粗くゴツゴツしていません。ただし、どの地層も露頭では風化のため表面がボロボロで岩質を判別し難いので、少し割ってみて石の断面で判断して下さい。泥岩層を見付けたらまずは泥岩と色の違う所を探します。黒や白、青っぽい等々…色の違う所を見付けたら、次は輪郭を見ます。化石は泥岩との間にしっかりとした縁(ふち)どりがあり、何となく色が違うというようなぼんやりとした物ではありません。色も違い輪郭もはっきりしていれば今度は質感を観察します。例えば、黒や茶色が混ざり合い不均等でゴワゴワした感じであれば恐竜類や他の動物の化石の破断面である可能性が大です。同じく黒くても太陽の光でキラキラして繊維質ぽいなら炭(植物)です。黒くなくても形が棒状の物や明らかに歯のような形をしている物も化石の可能性が高いと言えるでしょう。石にしては形状が不自然な感じがする場合は注意が必要です。   そうしてついに化石らしき物を発見したら…次回に続きます。

*「太古の生きもの館だより」とは

太古の生きもの館は、兵庫県立丹波並木道中央公園内にあります。
「太古の生きもの館だより」は、同公園が発行する季刊誌「PARK LIFE」で、毎号執筆されているコラムです。
本コラムは「PARK LIFE 51号」より転載しました。

(兵庫県立並木道中央公園ホームページ:http://www.hyogo-park.or.jp/tanba/contents/news/index.php?mode=view&cd=9860