太古の生きもの館コラム

VOL.3 太古の生きものたち・恐竜編(その一)

化石保護技術員 奥岸 明彦

今回は篠山層群から見つかる様々な生きものたちの化石のお話その一です。

篠山層群が白亜紀に形成された地層である事は何十年も前から知られており、恐竜などの古脊椎動物(現在では絶滅した背骨を持つ動物)の化石が見つかる可能性があると思われていましたが、実際には貝化石や巣穴などの生痕化石ぐらいしか見つかっていませんでした。

しかし、二〇〇六年についに恐竜の化石が発見されます。通称、丹波竜。新属・新種で学名をタンバティタニス・アミキティアエという大型の植物食恐竜の化石です。この大発見を皮切りに現在七種類の恐竜化石が見つかっており、丹波篠山市内では宮田、丹波並木道中央公園、川代トンネルの三ヵ所から角竜類の化石が発見されています。まだ調査・研究中ではありますが、新種である可能性がとても高い素晴らしい化石です。

角竜類と言えば、映画や図鑑などにもよく登場し、三本の立派な角と特徴的な後頭部のフリルを持ち四足歩行をするトリケラトプスが有名ですが、篠山層群で発見された角竜類化石は成体でも体長一メートルほど(トリケラトプスは約8~9メートル)角も無く、フリルも少し出っ張っているかな?という程度です。更に二足歩行であったと思われます。

なぜこれほど差があるのかというと、実は生きていた時代が違うからです。トリケラトプスは今から約六千八百万年~六千六百万年前ですが、篠山層群産角竜類は地層の年代と同じ約一億一千万年前という事でトリケラトプスの倍近く古い型の角竜類であるため、身体も小さく、角もフリルもまだ殆ど進化していない状態なのです。何だか迫力に欠けるなぁ・・・と思われるかもしれませんが、角竜類の進化の初期を詳しく知る事が出来るとても貴重な化石なのです。

篠山層群の角竜類

丹波篠山市ホームページ

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html