2018 SUMMER 太古の生きもの館だより

「発掘」について                       篠山市 化石保護技術員  奥岸 明彦

今回は「発掘」について少しお話ししようと思います。

発掘というと皆さんはどんな情景を思い浮かべますか?移植ゴテやクマデを使い土や砂を取り除き、テボウキや刷毛で掃除しながら発掘を進めていく…こんな感じでしょうか?日本では埋蔵文化財の発掘調査がテレビでも頻繁に取り上げられているので、こういったイメージが強いかもしれません。しかし、篠山層群での化石発掘は違います。格好良く言えばダイナミック、有りのままに言えばひたすら力仕事です。例えば丹波市で発見された丹波竜の発掘現場は川の水が少ない真冬に発掘されます。雪が降る中で約三十度に傾いた岩盤に取り付き、排水ポンプで川からしみこんでくる水を排水しながら削岩機という機械でバリバリと岩盤を砕きます。そして、化石を見付けると岩盤ごと布を石膏に浸した物で覆い固め、クレーンで吊り上げてトラックに積込みます。比較的小さな岩塊はベルトコンベアーで地上まで運んで石割調査をし…とこんな感じで泥まみれになりながらの発掘です。宮田(篠山市・哺乳類の発見された場所)の場合は近くに河川が無いため季節は関係無く、大して泥まみれにはならずに発掘出来ますが、削岩機でバリバリ…は同じです。

大変そうな事ばかり書きましたが、だからこそ化石を見付けた時の喜び、感動は格別です。しかし、モンゴルのようにあちらこちらに化石が露出していて岩を砕く必要も無く、少々大げさな表現ですが、拾えば良いなんていうのも少しだけ羨ましいです。