太古の生きもの館コラム

VOL4 太古の生きものたち・恐竜編(その二)

化石保護技術員 奥岸 明彦

今回は前回の角竜類に続く恐竜編その二という事で、丹波篠山市西古佐にある丹波並木道中央公園(以下公園)で発見されたトロオドン類の化石についてお話します。

ほぼ全てが篠山層群の上にある公園で発見されたトロオドンはどんな恐竜なのかというと、体長は約一メートルで飛ぶ事は出来ないけれども腕に鳥類のような羽毛を持ち、二足歩行をしていました。獣脚類という事で恐竜類の中では恐らく一番有名なティラノサウルス・レックスの親戚筋にあたります。

腕に羽毛を持っていますが、残念ながら飛ぶ事は出来ないくらい小さな物です。ではなぜ飛ばない(飛べない)のに羽毛があるのでしょうか?一般的には飛べるように進化している最中だと考える方が大半だと思いますが、実は飛ぼうと進化していたけれども、何らかの理由で飛ぶのを諦めた恐竜なのです。どうしてそのような事が分かるのかというと、化石に諦めた証拠が残っているからです。恐竜類の生き残りである鳥類(カラスもスズメもニワトリも全て恐竜類の生き残りです)は飛ぶ事が出来るように少しでも身体を軽くするため、骨の中は空洞になっています。トロオドンも同じように空洞になっているのですが、元々は大きかった空洞が小さく塞がりつつある状態になっています。これは飛ぶのをやめて陸上で生きていくには、歩いたり走ったりジャンプしたりと足に負担がかかるため、空洞を無くして骨を丈夫にする必要があったからなのです。

せっかく飛べるように進化していたのにそれを捨てるなんて勿体無い!と思いますが私たちには分からない深い事情があったのでしょう。意外と飛ぶのが面倒になって挫折してしまっただけなのかもしれませんが・・・。

トロオドン類(デイノニコサウルス類)

トロオドン類(デイノニコサウルス類)

 

丹波篠山市ホームページ

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html