太古の生きもの館コラム

VOL.1「地面の中が面白い丹波篠山」

化石保護技術員 奥岸明彦

さまざまな歴史と文化遺産に彩られた丹波篠山市。今から400年余り前、江戸時代に築城された篠山城とそれを取り巻くように広がる城下町や、さらに昔の古墳時代に造られた雲部車塚古墳をはじめとする古墳群など、それらを探訪するだけでも歴史好きにはたまりません。古墳時代よりも遥か昔、人類がまだ地球上に存在していなかった頃の遺産、言わば地球遺産と表現しても良いくらい素晴らしいモノが丹波篠山市にあるのはご存じでしょうか?

具体的にどこにあるのかというと、私たちが生活する、家の下、篠山城の下、ようするに地面の中にあります。そのモノの名前は「篠山層群」。

約10年前から小学校の授業でお話しているので、今の中学1年生から18歳くらいまでの市出身の子どもたちなら篠山層群を知っている、もしくは何となく覚えてくれているかもしれません。初めて篠山層群という言葉を聞く、あるいは聞いたことはあるけれどさっぱり意味が分からないという方のために簡単に説明します。

篠山層群とは、篠山盆地のほぼ全域と一部丹波市にまたがる、今から約1億1千万年前白亜紀前期の地層のことです。とても古い地層ですが、古いだけの地層ならそう珍しくはありません。もっと古い地層が日本のあちこちにあります。なのに、篠山層群が素晴らしいというのは、そこに数多くの貴重な化石が含まれているからです。

化石と言えば一番有名なのは恐竜化石だと思いますが、篠山層群からは新種の恐竜化石が複数見つかっています。恐竜以外にもトカゲ、カエル、貝や、今でも1億年前とほぼ同じ姿で生きている状態を水田で見ることができるカイエビ、植物が炭化した物、そして忘れてはならないのが私たちの遠い親戚筋にあたる哺乳類の化石など。その当時の生態系や風景を推測できるくらい、さまざまな生き物の化石が見つかります。

そんなすばらしく魅力的な篠山層群の地層や化石のこと、それに関するさまざまな取り組みについて、年3回のシリーズで皆さんにお伝えしていきます。

篠山層群から発見されたトカゲ類化石の復元模型 学名:パキゲニス・アダチイ(新種)

丹波篠山市ホームページ

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/kaseki/index.html