2021 WINTER 太古の生きもの館だより

これまでとこれから

丹波篠山市 化石保護技術員 奥岸明彦

今回は、この先篠山層群の発掘調査や化石はどうなっていくのか?という事と生きものが滅びるとは?という少々ロマン溢れるお話しです。

まず篠山層群の発掘調査や化石についてですが、現在進行形で幾つかの場所で発掘や石割調査を行っています。とても沢山の化石が見付かるため、化石のクリーニング作業や研究も含めると五年や十年では到底終わりそうに有りません。例え現在行っている場所の調査が終わっても、篠山層群で化石が出る可能性のある地層はまだまだ有るので、何十年、もしくは百年以上世代交代をしながら調査が続いていくかもしれません。まさに尽きない宝の山です。ただ、いくら私が長生きしたとしても調査の最後を見届ける事は出来ないでしょうから少々残念ではありますが…。

さて、次々と貴重な化石が発見される訳ですが、それらを調査・研究するのはどんな意味があるのか、何の役に立つのかよく訊かれる事が有ります。化石を研究するという事は、単に大昔にどんな生きものがいて滅んでいったかという事だけでは無く、その理由を知る事によって、人間を含む今を生きる生きものたちが、これから先もずっと繁栄していくための方法を考える上での大切な資料となるのです。

最後に、地球上で何かを記録して他の人や次の世代に伝える事が出来るのは今のところ人間だけです。恐竜などの太古の昔を生きた魅力的な生きものたちは今はもういませんが、誰かが記録し、それを知る事で記憶の中では生き続けていると言えるでしょう。ある意味、知る人がいなくなってしまうまで滅びる事は無いのかもしれません。

*「太古の生きもの館だより」とは

太古の生きもの館は、兵庫県立丹波並木道中央公園内にあります。「太古の生きもの館だより」は、同公園が発行する季刊誌「PARK LIFE」で、毎号執筆されているコラムです。本コラムは「PARK LIFE 54号」より転載しました。

(兵庫県立並木道中央公園ホームページ:兵庫県立丹波並木道中央公園ホームページ (hyogo-park.or.jp)