2019 SUMMER 太古の生きもの館だより

個人的感想                 丹波 篠山市 化石保護技術員  奥岸 明彦

今回は化石に関して私的に『面白い』と感じた事を少しばかりお話しようと思います。篠山層群からは新属新種の恐竜や哺乳類を含む沢山の生き物の化石が発見されていますが、卵の化石も見つかっているのはご存じでしょうか?いくつかの種類の卵殻化石が発見されていますが、その中に恐竜類の卵殻化石が有ります。卵殻化石としては新発見という事で新卵属・新卵種、学名はニッポノウーリサス・ラモーサスと名付けられました。実はこの卵、どんな恐竜の卵かはっきりとは分かっていません。獣脚類恐竜の卵である事は間違い有りませんが、具体的にどの恐竜の物かは不明です。親がはっきりしていなくても卵だけで分類があるという事も驚きですが、『新卵種』この表現を初めて知った時は、驚くというより思わずクスッと笑ってしまいました。卵だから卵種その通りです。ですが普段は無意識に鶏とその卵の様に、どんな生き物でも親と卵はセットで考えているので、卵だけの学名というのは不思議な感じがしました。ちなみに親が確実に分かっている場合の卵殻化石には学名はつきません。となると将来研究が進んでニッポノウーリサス・ラモーサスの親がはっきりした時は卵につけられた学名はどうなるんでしょうね。