2020 SPRING 太古の生きもの館だより

化石を発見したら…

丹波篠山市 化石保護技術員 奥岸明彦

前回の「大発見をしてみよう」に続き今回は化石(かもしれない物)を発見した際の対処方法です。「これは化石かもしれない!」物を見付けた時、焦って岩盤や石の中から取り出そうとしてはいけません。発掘の知識が豊富で経験も有り、専用の機材を持っているのなら大丈夫ですが、そうで無いのであれば専門家に任せましょう。詳しくは後程という事でまずは写真撮影です。化石の横にサイズの分かる物(定規やペン、ハンマー等)を置き一緒に撮影します。次に現場を離れ再度戻って来た際に、化石の位置が直ぐに分かる様に缶スプレーやマーカーペンで化石の隣りに硬貨サイズの印を付けます。ここまでの作業を済ませた後、専門家に連絡します(撮影した写真も送る)。篠山層群に関してなら兵庫県立人と自然の博物館や、筆者(丹波篠山市・化石保護技術員)に連絡すれば大丈夫です。公的機関なので調査及び発掘の費用も無料です。化石は非常に脆いので、壊さずに取り出すは至難の業です。素直に専門家に任せた方が楽で確実です。仮に自身で発掘をして、然るべき所に調査・研究をしてもらわずに家に飾っていても「化石らしき置物」なだけで科学的根拠に基づく価値は何も有りません。化石を発見した後どうするのかはとても重要な事なのです。

*「太古の生きもの館だより」とは

太古の生きもの館は、兵庫県立丹波並木道中央公園内にあります。「太古の生きもの館だより」は、同公園が発行する季刊誌「PARK LIFE」で、毎号執筆されているコラムです。本コラムは「PARK LIFE 52号」より転載しました。

(兵庫県立並木道中央公園ホームページ:http://www.hyogo-park.or.jp/tanba/contents/news/index.php?mode=view&cd=11137